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ねこと著名人

1.夏目漱石と我輩猫

夏目漱石と猫といえば、「我輩は猫である」が定番です。同作品は俳句雑誌「ホトトギス」に一話完結のつもりで掲載されたものが、人気を呼び11回もの連載に及びました。この日本文学の中でも著名な猫を扱った同作に登場する猫が、夏目漱石の飼い猫であるということは良く知られたことです。この作品を根拠に、漱石は愛猫家なのだろうと思う人も多いのですが、実際は漱石は犬派だったとか。猫嫌いというわけではありませんが、同作品中で「名前はまだない」とあるように、猫に名前もつけないほどに猫への関心が薄かったそうです。奥さんにいたっては猫嫌いに入るようでした。
ところが、猫は死んでしまうと手厚く葬られています。漱石は猫の墓に一句をしたため(しかし墓碑銘は「猫の墓」だった)、奥さんは月命日には魚の切り身と猫まんまをお供えしたそうです。そして猫の死は漱石の弟子達に知らされ、弟子達からは猫への弔句が送られたそうです。

我輩猫の墓に読まれた句

我輩猫の墓に読まれた句は、「この下に 稲妻起こる 宵あらん」というものです。
稲妻とは猫の目を指しているそうです。宵といえば宵闇と連想が行きます。そして漱石の猫は黒猫というのが定番ですから、黒猫の毛色をあらわしているのかもしれません。
ところが、猫は黒っぽいシマ猫だった(奥さん談)との話も登場したりと、またもや混乱が。しかし葬った際に書かれた句なら流石に毛色くらいは覚えているのでは…とも思うのですが、猫の毛色はどうであれ追悼の心に貴賎はありません。そういう関係もまあよいではありませんか。ごくごく個人的な感想ですが、この句には生命力や躍動感など猫の美しさへの敬意が感じられる気がします。